森光孝雅代表取締役 100種類のパンからクリームパンだけで勝負した株式会社八天堂

会社

祖父の代から続く和菓子・洋菓子店を引き継ぐ

八天堂の代表取締役社長森光孝雅氏は1964年広島県三原市生まれで、1991年に祖父の代から続く和菓子・洋菓子店を受け継ぎました。当時倒産寸前だった八天堂をパン店中心の業態に変えていきます。一時は県内に13店を出すまでに拡大しますが、無理な出店などで運営面がおかしくなり、社員が次々に辞めて業績が悪化。閉店も相次ぎ、債務超過に陥ってしまいます。そんな窮地の中、地元の食材や天然酵母を使った無添加のパンを県内のスーパーに販売する卸売りに事業を切り替えることで、徐々に業績を改善させていくことができました。

100種類以上の商品からクリームパンだけに

この経営危機の中で経営を猛勉強した森光社長は、ドラッカーの「選択と集中」理論、更にイノベーション理論の大家シュンペーターの言葉である「あるものとあるものが結びついたとき、イノベーションが生まれる。そのあるものとは、どちらもスタンダードなものである」をヒントに必死に思案します。定番でありながら強い特長のあるパンを一つ作り、それだけを売ると決めたのです。
最終的にパンのなかでもスタンダードなクリームパンと、食感としてスタンダードな「口どけのよさ」にいきつきます。
発売当初の一年はカスタードクリーム味一本で勝負してお客様の認知度を高め、人気が定着したら抹茶やチョコレートなど味を増やす。次はクロワッサン生地の商品を出すなど、クリームパンを変化させ、原材料も絶えず見直すことで、より口どけがよくなるように努力し続けます。

クリームパンの大ヒット

結果、八天堂のクリームパンは大ヒットしました。2009年に東京に出店した結果、メディアで取り上げられ、行列のできる店となり、業績を急拡大させていきます。
森光社長は人材育成も含めて会社の未来へ投資する原資は利益であるならば、体力の限られた中小企業は、身の丈に合わせて、他社にない特長を出すことに集中し、最大のパフォーマンスを求めるのが王道であると主張します。
現在は国内で大ヒットしたクリームパンを商品として韓国、台湾、フィリピンに進出しています。食文化が日本に近いアジアから攻略し、ゆくゆくはスイーツの本場である欧米に進出する構想も持っています。

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