絶好調、7期連続増収の学研ホールディングス
学研といえば、学校販売、家庭訪問販売で「科学・学習」のイメージが強いですが、現在はサービス付き高齢者住宅「ココファン」を全国展開し、子ども向けには受講効果業界1位の「学研教室」や、パソコン・スマートフォンを使い低料金で学習をサポートする「学研ゼミ」を展開しており、7期連続増収を果たしています。19年連続減収から7期連続増収へ、学研のV字回復を実現した宮原博昭社長についてご紹介します。
宮原社長は広島県呉市出身で、白陵高等学校を卒業し、1982年に防衛大学校を卒業後、1983年に西本貿易に入社しました。西本貿易では日本食の輸出や海外製のコメやチョコレートなどの輸入業務に携わりました。業務で関わった製品が積まれた20フィートコンテナーや40フィートコンテナーが港から出ていく壮大さにロマンや面白さを感じつつも、西原社長は何か残る仕事がしたいと思うようになり、教育に興味を持つようになります。そして1986年に学習研究社(現学研ホールディングス)に入社します。
マネジメント層を目指したきっかけは阪神淡路大震災
宮原社長は転勤のない勤務地限定職として入社し、当時赤字部門だった学研教室の立ち上げに携わります。防衛大学時代にかなり勉強されていたマーケティングやマネジメントなどのMBAまわりの知識を活用したビジネスマーケティングを実直に行った結果、学研教室は順調に伸びていきました。
1995年の阪神淡路大震災の時に自分に権限がないが故に自分の部署が義援金や支援金が受け取れない経験をし、そこではじめてマネジメント層、決裁権を持つ役職になりたいと思うようになります。
その後は正社員に転換し、2003年に学研教室事業部長、2007年執行役員第四教育事業本部長兼学研教室事業部長、2009年には取締役に昇格するなど順調なキャリアを築いていきます。
少子化に立ち向かう学研ホールディングス
社長になられた当時学研は19年連続で減収を記録していました。会社復活のために大切なのは社員の底力の向上だと考え、中堅社員の経営意識を育てるため、役員会同様の議論をするジュニアボードや新規事業育成プログラムG-1グランプリを企画していきます。G-1グランプはグループメリットが活かせる新規事業であれば新入社員でも誰でも提案できる制度で、このなかから2社が起業し、小学校に配布する親子のための運動・遊び情報誌「ソトイコ!」や、幼児保育、学童保育を行う「クランテテ」等の新事業が生まれたのです。
現在は少子高齢化に直面する学研ですが、15歳以下人口が大きいインドやタイに教育コンテンツを輸出し、昔の家庭訪問事業の学研で育った高齢者層には高齢福祉を提供するなど、逆風の環境下でも事業拡大を加速させています。
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