通算3度目の登板、キヤノンの御手洗冨士夫社長
2020年5月キヤノンは健康上の理由で真栄田雅也社長が1日付けで社長を退き、御手洗冨士夫会長が社長を兼務する人事を発表しました。御手洗氏は84歳で、1995年から2006年まで社長を務めたあと、経団連の会長を経て2012年から4年間、会長と社長を兼務し、キヤノンの社長を務めるのは今回で通算3度目になります。
キヤノンは新型コロナウイルスの感染拡大の影響による、厳しい事業環境をどう乗り切るかが課題で御手洗社長の経営手腕に期待されています。
御手洗社長とは
1935年9月に大分県南海部郡蒲江町生まれ、東京都立小山台高等学校を卒業し、1961年に中央大学法学部卒業しています。1979年にキヤノンUS社長に就くなど、アメリカ勤務が23年間と長く、アメリカ仕込みの合理的経営をキヤノン経営にも持ち込んだことで有名です。また、「財界総理」といわれる日本経済団体連合会会長職に私立大学出身者として初めて就任しました。
終身雇用の実力主義
御手洗社長は「終身雇用の実力主義」を掲げ、日本流の終身雇用による運命共同体としての集団結束力の強化と、米国流の競争の中から個々人の力を引き出す経営の両立を実践しています。厳しい経営環境に際した時にも雇用の堅持を第一義としていて、従業員に対して夏休みの短縮、成果主義の導入、フレックスタイム制の廃止、独身寮・社宅補助の廃止、諸手当の一部廃止などを行い、その代わり雇用を守りきりました。今回のコロナウィルス影響においても、キヤノンは雇用を守りつつ、本社スタッフは自宅待機としています。
合理的な面を持ちつつも、日本流の終身雇用を前提とした温かい家族経営を目指しており、キヤノンは働き方は非常に柔軟な会社として知られています。
昨今、精密機器はペーパーレス時代の到来、カメラのスマホへの置き換えにより厳しい事業環境が続いていますが、2016年に東芝メディカルシステムズを買収した医療分野の強化含めた多角化により将来の中期経営計画をいかに作れるかが今後のポイントとなっています。
経験豊富な御手洗社長のもとでキヤノンがどういった経営施策を実行していくのかに注目です。
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