千葉県で飲食店を展開する株式会社Greenの代表取締役社長である水谷将典さんの元には、色々な会社の営業マンがやってきます。ウォーターサーバーを置いてほしい、このお酒を置いてくれないか、電子タバコの新商品を試してほしいなど、色々な話が持ち込まれますが、基本的に水谷将典さんはこの手の話を断ります。不必要なものがついてしまうと、それを取り除くのに時間がかかることを知っているからです。
体脂肪に置き換えて考えてみる
水谷将典さんは普段からウォーキングなどを行い、ある程度体型を維持しており、同世代の男性と比べれば精悍な体つき、顔つきを保っています。営業マンの言う通りになんでも導入してしまうと、不必要なものまで取り込むことになってしまい、何らかのタイミングで取り除かなければならない時に、なかなか取り除けなくなってしまって大変だと主張します。これは体脂肪と同じで、つくのは簡単だけど、脂肪を落とすのに相当な労力がかかり、楽して落とそうとして落とせないのが普通です。ムダな投資ばかりが嵩み、結果的にコストも時間も無駄にする結果を生み出すのです。
先ほどのウォーターサーバーも、確かにあれば便利な商品です。しかし、なかったら大変な事態を招くものかと聞かれればそうではありません。もちろん社員への福利厚生としてあればいいでしょうが、それならば直接還元した方が喜ばれるのではないかと考えます。できるだけ必要なものにコストをかける方が効率的です。なんでもかんでもコストをかけるのは企業としての心の余裕、ゆとりではありません。経費に対する考え方の甘さが出ているとしか思えないと水谷将典さんは考えます。
スマホ決済などにはコストをかける
一方で水谷将典さんが積極的に取り入れているのがスマホ決済です。近年財布を持たずにスマホで決済できるサービスが増えており、携帯電話会社がそれぞれスマホ決済のサービスを持っています。当然クレジットカード、デビットカードなど色々な支払方法がある中で、飲食店はそれらの対応をしないといけません。しかし、飲食店によっては経費を嫌ってこれらのサービスを導入していないところも多いです。
水谷将典さんの友人は、財布を持っておらず、クレジットカードやスマホだけは持っている状態で飲食店に入り、クレジットカードもスマホ決済も使えず、お会計の際に冷や汗をかいたそうです。その時は友人に急いで電話をかけて事なきを得ましたが、言ってしまえば店側が経費を嫌ったことでお客さんに恥をかかせてしまったわけです。それによって大切な顧客を失うのは明らかにおかしいと水谷将典さんは考え、できる限りの決済方法が使えるようにしています。
いるかどうかわからないものは買わない
水谷将典さんの行動方針として、明らかにあった方がいいものは買う、いるかどうかわからないものは買わないと決めているそうです。無駄遣い、衝動買いの類は明らかにあった方がいい、絶対に必要なものではなく、いるかどうかわからないけどあったら便利そうという程度で購入しているだけだと無駄な買い物になります。いつかは使うかもしれないと捨てきれず、断捨離がうまくいかないケースと同じようなものです。
これはビジネスの世界にも間違いなく通じます。福利厚生を極めるために会社内にお菓子スタンドを設けたり、コーヒースタンドを置いたりする企業もあり、便利なことは便利です。ただ本当に従業員が求めているものかどうかはわかりません。経営者の自己満足でこれらのものを置いてしまうのが従業員に対する態度となって出てしまうことも往々にしてあります。
従業員にとって必要なものはやはり手当など懐を潤すようなものです。そのために少しでも負担を軽くさせてあげるのが経営者のやるべきことであり、経営者の自己満足のためにお金を使うべきではないと水谷将典さんは考えます。
常にヒアリングは欠かさない
従業員にとって必要なものは何か、お客さんがより便利に利用してもらえるために何をすればいいのか、そこへの費用は惜しまない、それが水谷将典さんのポリシーです。従業員とヒアリングを行い、アンケートを用いてお客さんから色々な声を吸い上げます。クレーム対応や従業員の評価のためにアンケートを使うケースもありますが、そこが目的ではなく、あくまでも傾向をつかむため。耳を傾け、必要なものに資金を投じる、これができているうちは経営で痛い目を見る可能性は少ないはずです。
コメント