山本昌仁代表取締役社長 洋菓子で老舗和菓子店から飛躍したたねやグループ

会社

老舗和菓子のたねや

バームクーヘンで有名なクラブハリエも有する滋賀県近江八幡のたねやは1872年に創業した老舗和菓子店です。
現社長山本昌仁氏が幼い頃は今のように約2,000名の社員を抱えるわけでもなく、従業員が1-2人いるだけの家族経営でしたが、常に和菓子のある環境で育ったため、自然と自分も菓子を作るだろうと感じていました。
1984年に、たねやはデパートの県外1号店を日本橋三越にオープンします。山本社長のお父様は滋賀県を中心に店舗を拡大していきましたが、どんなに初めて出した菓子もすぐに都会で真似をされていました。それならばしっかり東京のど真ん中で商いをしようと出店しました。
東京に進出するに先立ち、いいところを東京でしっかり伸ばしていくためにと、自分たちの精神や代々やってきたことをまとめた書を編纂した末廣正統苑(すえひろしょうとうえん)は、今でもたねやグループのバイブルとして残っています。

バームクーヘンの成功

山本社長は従来和菓子で有名だったたねやを洋菓子で大きく飛躍させました。
大きなきっかけは1999年に梅田阪神に出したバームクーヘン専門店クラブハリエBスタジオでした。
山本社長は幼い頃に丸かじりしたバームクーヘンの丸太の美味しさが忘れられず、当時婚礼程度の需要しかなかったバームクーヘンを店舗の全面に出し、バームクーヘンの丸太をお客様の目の前でカットする演出を始めます。
演出面に加えて、店舗まで丸太で運ぶことでそのぶん乾燥を防ぎ、よりしっとりした風味になる効果もありました。
この演出を始めてからバームクーヘンは一大ブームとなります。そしてたねやにとっては、ずっと赤字だった洋菓子のジャンルがついに独り立ちするきっかけになりました。

たねや洋菓子の売上は和菓子を追い抜きつつある

現在では洋菓子の売上は会社全体の4.5割と、和菓子を逆転する寸前まできています。
たねやの菓子は高いですが、1500円を払っても、2000円の価値があるという信頼とブランドがあると自負しており、ブランドを守る大事さを山本社長は常々社員に話しています。
和菓子市場は縮小傾向で、20年前に一等地に並んでいた和菓子屋はいまや隅に追いやられてしまっている状況です。
そんな和菓子業界に身を置きながら、洋菓子を取り入れて成功した山本社長の次の一手に注目が集まります。

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